【建設業法】専任を要する監理技術者等の兼任条件が定められました。
令和6年12月13日より以下の法令等が施行されました。
特に注目すべきところは、(5)の専任を要する監理技術者等の兼任を認める要件が定められたところです。
(1)契約書の法定記載事項の追加(建設業法第19条第1項第8号)
建設工事の請負契約書に、「価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め」を記載しなければならないことになりました。
(2)価格転嫁協議の円滑化に関する通知ルール
(建設業法第20条の2第2項から第4項まで、施行規則第13条の14及び第13条の15)
建設業者は、請負代金・工期に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、契約締結前にその旨を必要な情報とともに注文者に通知する義務が課せられることとなり、当該事象が実際に発生したことを受けて建設業者が契約変更を申し出た際には、注文者はその協議に誠実に応じる努力義務が課せられることとなりました。
なお、通知が必要となる事象について施行規則において規定するとともに、建設業法令遵守ガイドライン等に具体的な運用のあり方が記載されています。
(3)建設業者の処遇確保義務(建設業法第25条の27第2項)
建設業者は、雇用する労働者が有する知識、技能その他の能力についての公正な評価に基づいて、適正な賃金の支払等の措置を適切に実施するよう努めなければならないこととなりました。
(4)情報通信技術の活用に関する努力義務規定の創設
(建設業法第25条の28、入契法第16条)
建設業における担い手の確保が大きな課題であり、現場管理の効率化・生産性向上に資する建設業の ICT 化が不可避となっている状況を踏まえ、特定建設業者及び公共工事の受注者は、ICTを活用した現場管理や、ICTの活用に係る下請負人に対する指導に努めなければならないこととなりました。また建設業者等の取組の参考として、指針(ICT指針)が公表されました。
(5)監理技術者等の専任義務に係る合理化・営業所技術者等の職務の特例
(監理技術者等:建設業法第26条第3項、施行規則第17条の2及び第17条の3 営業所技術者等:建設業法第26条の5、施行規則第17条の5及び第17条の6)
工事現場に専任しなければならないこととされている監理技術者等について、情報通信技術の利用により工事現場の状況の確認ができる等の場合には、政令で定める金額・現場数の範囲で兼任が可能となりました(※)が、施行規則において、兼任が認められる要件が以下のとおり定められました。なお、運用詳細と留意事項は監理技術者制度運用マニュアルに記載されています。
・ 工事現場間の距離が、一日で巡回可能かつ移動時間が概ね2時間以内
・ 各建設工事の下請次数が3次まで
・ 監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者(土木一式工事又は建築一式工事の場合は、当該建設工事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)の配置
・ 工事現場の施工体制を確認できる情報通信技術の措置
・ 人員の配置を示す計画書の作成、現場据置及び保存(電磁的記録媒体による作成等を含む。)
・ 工事現場以外の場所から現場状況を確認するための情報通信機器の設置
あわせて営業所に専任しなければならない営業所技術者等についても、同様の措置により専任を要する現場技術者の兼務が可能となりました。
※建設業法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第366号)参照
(6)公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化
(入契法第15条第2項、入契法施行規則第2条)
公共工事の受注者は、工事現場の施工体制を発注者が情報通信技術を利用する方法により確認できる措置(建設キャリアアップシステムの利用など)を講じた場合、発注者への施工体制台帳の写しの提出を要しないこととなりました。
上記は、国土交通省の報道発表資料を加工して記載しました。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00272.html