【業務日誌】建設工事請負契約書
こんにちは、行政書士の野村です。
先日、お客様から電話がありました。
「大きな工事を受注するので請負契約書を作りたいんやけど、ひな形みたいなものありますか?」
建設業許可や経営事項審査申請などの手続きをさせていただいていると、こういった依頼が時々あります。
建設業の場合、本来であれば、請負金額の多少にかかわらず契約書を作成することが建設業法で求められています。
しかし、当事務所が手続をお手伝いしている建設業者様には、いつもしている工事より金額が大きい工事だけ契約書を作成する、という方がおられます。
今回のご依頼もそのパターンでした。
「契約書を一から作成するより国土交通省のサイトに、国土交通省が推奨する契約書がのっていますので、それをご確認いただいて、改変する形の方が早く出来上がりますが、それでよろしいですか?」
と申し上げますと、「それでかまいません」ということでしたので、早速その契約書をお送りさせていただきました。
国土交通省は、推奨する建設工事請負契約書をサイトに掲載しています。
なお、建設工事の請負契約書には建設業法で定められた次の事項を必ず記載しなければなりません。
① 工事内容
② 請負代金の額
③ 工事着手の時期及び工事完成の時期
④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
⑦ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
⑨ 発注者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
⑩ 発注者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
⑭ 契約に関する紛争の解決方法
今回の場合、お客様と何回かやり取りしながら、契約書の内容について必要な変更をし、最終的にお客様の要望に合わせたものを作成しました。
契約書は法律で決まっているだけでなく、私の今までの経験からしても、作成する方が当事者双方のためになります。
口約束でも契約は成立しますが、口約束はお金をもらう方にとってデメッリットが多く、リスクの高いものです。
全ての工事について文書で契約するのは、難しい部分もあるでしょうが、契約書や発注書+請書など、場面ごとに自社に合った形で、書面での契約をお勧めします。